うしろ向きじゃないよ

ADayInTheLife

きょうの僕を幸せ気分にしてくれた1曲

(SixEight)

fromthealbumSTILLLIFE(TALKING)(1987年)

かつて僕のお店の近くのカフェで働いていたchikaちゃんが経営するお店に6年ぶりに行ってみた。

繁華街から車で15分ほど離れているため、なかなか足が向かなかったが、体が空いたので雨にも負けず行ってみた。お店の場所も忘れていて、たぶんこのあたりだったような?と。だが、意外とすんなり見つかった。

入り口の暖簾をくぐって店内に入ると、誰もお客さんはいなかった。Chikaちゃんはカウンターを出て小上がりで何やら雑務中だった。

こんにちは〜。お久しぶり

ハイ。あらあ〜、お元気でしたかあ?

相変わらずくったくのない笑顔で迎えてくれた。

ここをオープンした頃に来られましたよね。あれ以来だからどれくらい?7年?

わかんない。たぶん6年ぶりぐらいかな

それにしても全然変わらないですねえ。昔のまんま笑

いやあ、ずいぶん髪も薄くなったよ

いやあ、変わってないですよ

ひとしきり昔話を。

でも、この店内の雰囲気。こここそまったく変わらないね。まるで今も60年代を引き摺っているというか、時間を止めた高円寺阿佐谷吉祥寺みたい

よく言われるわ。なんか意味不明なモノがごちゃごちゃと散らばっていてね

60年代アングラ風でもあり、アジアンチックでもありフォークロアというのだろうか。県内はもとより全国から音楽好きが集まったりしているお店。

店内に据えられたテレビではお客さんからもらったという忌野清志郎の歌う映像ばかりを編集したが流れていた。

好きだったっけ?

言葉に出来ないくらい!ライブにも行ったよ

コーヒーを飲みながらしばらく世間話をした。

最近さあ、どういうのかなあ、うしろ向きなんだよね

どうしたの?

先週の日曜日にね、アルバムを整理していたら25年以上まえの写真が出て来たのよ。ちょうどコピーライター養成講座に通っている時の生徒仲間で飲みに行った時の写真なんだけど。そこにさあ、その頃好きだった女性が写っていて

かわいいの?

理想の顔立ちかなあ。彼女の顔を見ていたら胸がキューンとなっちゃって。いい歳こいてさ。写真は3枚しかないんだけど、彼女の近くにしっかりと僕がいるんだよ。まるでストーカーだね笑

付き合っていたの?

いいや。半年間の養成講座で、結局思いは伝えないまま

連絡は取ってないの?同級生とか、知り合いは?

全然。もう彼女の名前すら、その頃住んでいた所さえ忘れてしまった

探す手立てはないの?

うん。悲しいけど。でも、なんかさあ、思うんだけど、こうして昔を懐かしがっていてうしろ向きだよねえ。イカンなあ

何言ってんの!胸がキューンと熱くなったのは今でしょ。今のイトーさんがときめいたんでしょ。いいじゃん。ときめいたり、熱くなったり忘れちゃいけないよ。最近みんな熱くないんだよねえ。もっと熱くさ、いつもワクワクしていたいよね。清志郎さんみたいに、ね!

そうだね。51歳にもなって胸キュンだもんね。笑っちゃうけど、すごいよな笑

そうだよ。もっと熱く!

それにしてもワタシと会うといつも女性の話ばかりだよね。昔からアハハ

そうだな。アハハ

お店の外は相変わらずの雨。それも土砂降り。昨日、熊本も入梅した。しばらくはじめじめじした日が続く。でも、今日。Chikaちゃんに会いに来てよかった。なんか、こう元気が湧いて来た。

それじゃあ。そろそろお店の仕込みやらないと。帰るよ。今日はありがと。元気もらったよ。またねって言っても何年後かわからないけれどね。イヤ、そんなに空けずに来るかも。そんじゃあ

今日はわざわざありがとうございます。じゃあ、またね。お気をつけて

僕は傘を差して急ぎ足で車へと向かった。

午後4時ちょい過ぎ。道路も混雑しはじめていた。僕はカーステのスイッチを入れた。先日、入れっ放しで仕舞い忘れていたパットメセニーのが流れ出した。

雨の日には似合わないだろうなと思いつつも聴き流していた。思いのほか今の気分にぴったりだった。Chikaちゃんにもらった言葉のせいか。雨の憂鬱さもどこへやら。気分はすごく軽やかになっていた。

今のイトーさんがときめいているだよ。いつまでも熱くいなくちゃ!

さて。選んだ1曲はパットメセニーのグラミー賞受賞アルバムから(SixEight)。

スキャットによる静かなイントロから、ギターによる軽快なテーマ、マリンバなどでのリズミックなキメのパートの後、コーダ部分でギターシンセで歌いまくる演奏複雑な構成で展開してくドラマチックな曲だが、聴いている時にはそれを感じさせないスムーズさ。何度も繰り返して聴きたくなる。

アフロブラジリアンテイストが強く感じられるアルバムで、彼らの最高傑作との呼び声も高い。パットメセニーライルメイズの美しいメロディライン、ォイスと音楽の美しい調和とにかく心地好い。ハッピーな気分になれる。20年以上前の作品だというのに今聴いても新鮮だ。

(2009/06/10記)